ロシア放送にて取材動画が紹介されました!「米軍という環境汚染」
沖縄県、東村高江。多様な希少種が生息する自然豊かな森で、今、米軍による新たな環境汚染の実態が浮き彫りになっている。今月、私が高江で取材・制作したビデオリポートを、アメリカのインターネットニュース「The Peace Report」にて発表したところ、インターネット上で広まり、今月25日、ロシア国際放送が特集リポートにして報道してくれた。ジャーナリズムの国際連帯、ここにあり。
私がこの問題を知ったのは、今月9〜18日、沖縄を訪れた際のことだった。
昨年制作したドキュメンタリー「テロリストは僕だった」でも紹介した国際平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(平和を求める元軍人の会)」のメンバーたちが沖縄・辺野古、高江、普天間基地で抗議行動に参加するということで、私はドキュメンタリー撮影のため、全日程同行取材をさせて頂いた。
そんな中、沖縄出身の生物学者・宮城秋乃さんより「高江の森で米軍によるゴミの不法投棄が深刻化している」との情報を受け、他の「ベテランズ」のメンバー2人と宮城さんの案内の元、高江の森を訪れた。
森に一歩足を踏み入れると、
小鳥の囀りや、木々の間を流れていく心地いい風の音に体が包まれる。
耳をすませば、小川のせせらぎ。
ここにだけ生息する蝶が舞う。
そこは自然の宝庫だった。
だが、足元を見て、驚いた。
茶色のビニール袋があちこちに散乱していた。
パッケージを手に取ると「MRE」の文字。
これはなんだろか?
一緒に高江の森を訪れた元海兵隊員のマイク・ヘインズさんに尋ねると、
「Meal Ready to Eat、米兵用の調理済み簡易食料のことだ」という。
東村高江の森をはじめ、沖縄県北部一帯の「やんばる」地域は、米軍がジャングル戦闘訓練を行っている地域でもある。
どんな状況下で捨てられたものかは不明だが、パッケージがすべて英語表記であること、「MRE」には"Department of Defense, USA"(米国国防総省)の文字があることをみると、米軍が投棄したゴミに間違いないだろう。
散乱するゴミの山を前に、マイクは困惑と怒りを隠せない。
「僕が海兵隊員だった頃、『持ち込んだものはすべて持ち帰れ』と徹底的に訓練されていた。ゴミを落とせば、敵に居場所を特定される可能性がある。さらに、環境を配慮するためでもあった。沖縄の海兵隊員は、一体何をやっているんだ?海兵隊のルールや品格はどこに行ったんだ?」
生まれ育った沖縄の自然を愛する宮城さんは、米軍のゴミ捨て場と化した高江の森の状況を見かね、多忙なスケジュールを縫いながら週に1度自主的にゴミ拾いを続けている。
「こういうこと、自分たちの国でもやるのかな?
それとも沖縄だからやるのかな?」
泥まみれになったゴミを拾いながら、そうつぶやいた宮城さん。
普段は柔和なその表情に、困惑の色が浮かんでいた。
およそ1時間のゴミ拾いを終えると、ビニール袋は「MRE」のゴミで満杯になった。
「この現状をどうにかして伝えないといけない。
特に、アメリカ市民に向けて伝えたい」
その思いで、英語でビデオリポートを制作したところ、思いに共感してくれたアメリカのインディペンデントニュースサイト「The Peace Report」が私のビデオリポートを発信してくれた。
タイトルは『沖縄の海兵隊員の君たち、忘れものしてるんじゃないの』
このニュースが今月21日にFacebookで公開されると、
動画再生回数は一気に8300回を超えた。
さらに、これがロシア国際放送の報道部の目に止まり、
今回、彼らが新たに特集リポートを組んでくれた。
(すべて英語ですが、動画・写真があるので、ぜひ以下リンクをご参照ください。)
「取材撮影・Hanayo Oya」の名前が入った動画がこうして世界の人たちの元に届くのをみると、取材者としての責任とジャーナリズムの大きな可能性を感じるし、
アメリカの「The Peace Report」のように同じ志をともにする海外メディアと手を取り合うことで、日本の外で、物事が少しづつ、でも確実に、動いているのを感じる。
日本人だからといって、必ずしも日本国内だけで報道する必要はない。
むしろ日本人だからこそ、この国で起きていることをもっともっと海外に伝えるべきなんじゃないか。
特に、沖縄で起きている「米軍問題」は、アメリカの問題であり、世界の問題だ。
沖縄という地域の問題じゃない。
だからこそ、グローバル社会の中で、今こそ、ジャーナリズムの国際連携が大事だと思う。
放送局での仕事を辞めて9ヶ月。
私は、沖縄で起きている不条理を英語で世界に発信する人になりたい。
米軍が世界でやっていることを、アメリカ市民に知ってほしい。
英語を学び、沖縄の報道現場に立たせてもらった者として、私には、その使命が自分にはあるんじゃないか。それが今後、自分が進むべき道なんじゃないか。
最近、そう強く思う。
まだまだ手探りだけども。でも、そこに限りなく大きな可能性があるのを感じている。
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